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行政書士 あかつき国際法務事務所

コラム:長期間、日本を離れる方に。再入国許可とみなし再入国許可の違い

在留資格(=ビザ)を取った後に、母国に暮らす親族の看病や出産、長期出張などの理由により日本を離れなければならなくなる事情が発生するかもしれません。

基本的には、取得したビザの在留期間内であれば日本を不在にしていても構いません。

ただし、出国には注意が必要です。

在留資格取得後に出国ができる人の要件

まず、対象者は中長期(=4か月以上)の在留資格をもち、かつ、有効な旅券(=パスポート)を持っている方です。

短期滞在のビザや3月以下の在留資格の方は、出国できません。

対象外の方が、万が一出国してしまった場合は、在留許可申請中であれば申請が無効になります。

また、中長期の在留資格者が出国する方法というか、日本に再入国する方法は2つあります。

① みなし再入国許可

出国の日から1年以内に再入国する場合は、原則として通常の再入国許可の取得を不要とするもの。

みなし再入国許可の有効期間は、上記のとおり、出国の日から1年間です。

ただし、在留期限が出国の日から1年を経過する前に到来する場合は、在留期限までとなるので注意が必要です。

また、以下の方はみなし再入国許可が認められないため、通常の再入国許可の手続きをしなければなりません。

(1)在留資格の取消手続がなされている者
(2) 出国確認の留保がされている者
(3) 収容令書の発付を受けている者
(4) 難民認定申請中の在留資格「特定活動」である者
(5)日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあること、その他の出入国の公正な管理のため再入国の許可を要すると認めるに足りる相当の理由があるとして法務大臣が認定する者

最後に忘れてはいけないのが、みなし再入国の意思表示です。

みなし再入国許可の対象者は、出国時に再入国出国記録(再入国EDカード)の一時的な出国で、再入国する予定である旨が記載されたチェック欄にチェックをして、入国審査官に提示すると同時に、みなし再入国許可による出国であることを伝える必要があります。

なお、有効な旅券と特別永住者証明書(特別永住者証明書の交付を受けていないときは、外国人登録証明書)を所持する特別永住者も、みなし再入国許可の対象です。

特別永住者のみなし再入国許可の有効期間は、出国の日から2年間となります。

②再入国許可

みなし再入国許可の対象外の方は、再入国許可の手続きが必要です。

再入国許可の対象者は、中長期の在留資格をもち、かつ、有効な旅券を所持している者となります。

※有効な旅券を所持していない場合、その理由が国籍を有していない又は、その他の事由で旅券を取得することができない時は、再入国許可書の交付を受けることができます。

期間は、出国期間が1年~在留期間の期限内の範囲で最長5年間(特別永住者の方は6年間)の間で決定。

さらに、再入国許可が1回のみ有効であるものと、有効期限内であれば何度でも再入国ができる数次有効のものがあります。

ちなみに、基本的にみなし再入国許可も再入国許可も決められた期限内に再入国をしなければ、在留資格は消滅してしまいます。

ただし、再入国許可については、病気等で当該許可の有効期間内に再入国することができない場合は、在留期間が残っている場合に限り在外日本公館で、有効期間の延長をすることができます。

もし有効期間内に再入国できなければ、短期滞在のビザで入国し、改めて在留資格の取得の申請を行わなければなりませんので、有効期間は必ず守りましょう。

余談ですが、コロナ禍の時は多くの在留外国人が母国に帰国されたかと思います。

再入国も容易ではなく、永住者も有効期間内に日本に戻ってこれなかった方は在留資格が消滅してしまいました。

もちろん、ルールなので皆さん短期滞在のビザで入国し、再度永住許可申請をして再取得するケースが多く見られました。

やむを得ない状況でしたので、申請手続きは簡易的なもので済んだようですが。

永住者であっても、みなし再入国許可や再入国許可の有効期間は絶対に守らなければならないものです。

ご注意を。

さて、再入国許可についても行政書士による申請が可能ですので、申請する時間がないなどありましたらお気軽にご相談ください。